高いインプレッションとクリックを叩き出す「データ可視化」、課題は?

ニュースや報道に限らずコンテンツにはインパクトのあるビジュアルが常に必要です。

NYT GraphicsGuardian Data Blogを始め、データを可視化した記事制作は古くから取り組まれている分野で、特にWebではJavascriptなどを使ってインタラクティブなコンテンツ制作が可能であるため、マウスで操作可能な、かなり複雑な内容を取り扱った記事も数多く見つけることができます。

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これらのデータ可視化と組み合わせたニュースや報道は「データジャーナリズム」と呼ぶ動きもあるようで、日本でも最近になってようやくNHKを中心として可視化コンテンツを見かけるようになりました。日経などでも取り組みが見られます。HubSpotなどはしきりと魅力のあるビジュアル、可視化を当然のようにコンテンツとして取り入れるよう啓発してきますが、コンテンツマーケティングのいちビジュアルとしてビジュアライゼーションに取り組んで定期的に発信していくのはまだまだハードルが高いと言えます。

NHKは番組と連動したTwitterFacebookを使って災害情報の発信等を行い、可視化動画は50万回再生、インプレッションも100万を超えるなど、ますます時間のなくなる現代人にとって「瞬時に大まかな情報を把握できる」データビジュアライゼーションへのニーズは今後ますます高まっていくと言えるでしょう。

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旺盛なニーズ、課題は人とデータ

この分野はどうしてもビジュアルとプログラミングがオーバラップしてくるので、デザイナーとコーダー双方が領域侵犯的にコラボしてセンスを発揮していかないとうまくいかないため、現状ではWebデザイン界隈の人たちと親和性が高い感じです。「俺はデザイナーだからコーディングのことなんて知らん」とかいう老害デザイナーは早く絶滅すべきですね(力説)。
 
あとは可視化できればなんでもいいのかというとそうでもなく、引きのあるコンテンツに仕立てていくためにかなりの時間と人材リソースを使うことになります。
 
データが汚い
データを集めてみたはいいけど可視化できるような状態にないため成形・整理していく必要がある。
 
データが多い
可視化したところでぐちゃぐちゃになったら意味がないため、見た目と伝えたい内容の生合成を調整していく必要がある。
 
ここまでで成形する人(少なくともスクリプト言語の使える人、場合によってはテラバイト級のデータを操作)、見た目の調整をする人(記事の企画者)、その調整を実装する人(コーディング)、などなど... 数多くのリソースを使って一本の記事を仕上げていくわけですが、よほどコストに余裕があるところでなければ手が出せないのは明らかです。
 
そこで何か良いツールはないのか?という話になるんですが、現状ではそこまでうまくデータ可視化のニーズを満たせるツールはなく、何かしらプログラミングの知識がいる、そうでなければデータの整理が必要と、まだまだです。
 
で、私が今まさにそれに必要なツールを企画しておりますが、それは形になってきたらご紹介しようと思います。
 

 

ホットすぎるEmojiブーム、成功と失敗

ものすごい勢いで進化を続けるEmojiマーケティングですが、安易に流行に乗っかると痛い目に合うのはどこでも、何でも同じようです。

シボレークルーズの2016年の若者向けモデルのリリース文としてこのようなものが出たのだとか。すごいですよね。でもアメリカの若者に語りかけたい、という意思を形にするとこのようになるのでしょう。

https://contently.com/wp-content/uploads/2015/07/Chevrolet_MediaAlert_10_MOL.jpg



合わせてこのようなビデオも出まして、過度にEmojiを使ったジョークキャンペーン的なものであることが分かりますが、好意的にとらえない人もいたようです。ビデオに日本語はないですが、すごく面白いです。

 

 

 



シボレー以外ではタコベルはUnicodeに働きかけてタコスのEmojiを文字コードに入れたり、バーガーキングもリバイバル商品のプロモーションにEmojiアプリ(日本でいうとLineスタンプみたいなもので、メッセンジャー等で使える)を出す、更にドミノピザはピザのEmojiを打つだけでTwitter上で注文を受け付けるなど、Emojiを使わない私のような人間には何が起こっているかよく分からん世界になっています(故にEmoji Academyのようなビデオが面白くあるわけですが)。

http://a4.mzstatic.com/us/r30/Purple3/v4/66/0b/e5/660be5a4-8002-6846-92ae-8f3bbf644a84/screen322x572.jpeg



絵文字じゃなく、Emoji
Emojiは2011年にiOS5に導入されたのをきっかけにアメリカでも使えるようになりました。GoogleGmail上で使えるEmojiのセットを増やしています。AYTM Market Researchの調査によると、18歳以上のアメリカのインターネットユーザーの50%近くがEmojiをメールやSNS等に使用しているそうです。

研究によれば、オンラインでスマイルマークを見ることは現実で笑顔を見ることと類似しているとのこと。デジタルのテキストに人間味を加えられるというのがEmojiを使いたくなる理由なのかも知れません。

先のAYTM Market Research の調査によれば、58%のユーザーが5個くらいのEmojiを日常的に使用しており、その楽しさと同じくらい機能性を見いだしているようです。

ミレニアル世代をターゲットに
Emojiは基本的にはミレニアル世代の遊びのように受け取られますが、ある研究によれば64%のミレニアル世代の若者がEmojiを日常的に使っているそうです。企業やブランドは若者にアプローチするためにEmojiに手を出しますが、ホワイトハウスがEmojiを使ったインフォグラフィックスを出した時には批判する若者も現れて後にコンテンツを削除しました。

ゴールドマンサックスがTwitter上にミレニアル世代に向けたEmoji入りのレポートのツイートをしたときにも評判はあまりよくなかったようです。やはり固めのブランド、信頼第一のブランドには向いてないようです。

https://contently.com/wp-content/uploads/2015/07/Goldman_tweet.jpg



やはり重要なのは自分たちのお客さんのことをしっかりと観察することです。良いメッセージ、役に立つメッセージを作れれば良い反応を得ることができますし、逆に弱みに付け込むようなメッセージを出せば痛い目にあいます。

イギリスのマクドナルドでは「交通渋滞はマクドナルドを食べるチャンスだ」みたいなメッセージのEmoji看板を立てたのですが、グラフィティアーティストにゲロを吐いているEmojiを追加されて台無しにされてしまいました。

http://editorial.designtaxi.com/editorial-images/news-macsemoji170715/1-mcdonalds-emoji-billboard.jpg

 

「渋滞だ、マクドナルド入ろう」みたいな看板を渋滞中に見たら確かにイラっとしますね。流行ってるから何でも良いというわけでなく、そこはしっかりと考えないといけません。
 

日本人の知らないところで盛り上がりまくる絵文字、むしろEmoji

みなさん、絵文字使いますか?私は滅多に使わないです。imodeメール時代から徹底して使わないです。使い方がよくわからないのと、男性から受け取ったとき若干キモく感じるので、同じキモさを相手に与えてはならないかな、と思いまして。

そんな絵文字ですが、我々日本人の与り知らぬところで様々な進化と新たなカルチャーを生み出しておりまして、西洋ではEmoji(イモージーと発音しますね)としてもはや完全に文化として根付いております。というより若者向けにウケがいいということで、企業のプロモーション等を中心にかなり過熱気味のブームになっております。

やはりテキストだけに比べると面白おかしく、素早くメッセージを伝えられたり、またクイズっぽく使えたりするので、読んでもらえる機会も増えるものと考えられます。そのような特性を活かした企業ブランディングの事例等を少し紹介していきます。

高校生向けの絵文字を使ったドラッグ禁止キャンペーンです。「若者が言葉にしづらいことでも、絵文字だったら自然にできるのではないか、悩みなどの議論につながれば」とキャンペーンを担当したHill HollidayのAlyssa Fishman氏は語っています。

You Need to Speak Emoji to Understand This New Anti-Drug Campaign | Adweek

http://www.adweek.com/files/imagecache/node-detail/2015_Jul/drug-free-kids-emoji-hed-2015.png

 

ハッシュタグを使ったTwitterの遊びに企業が参加している例です。色々な解釈が可能な絵文字を面白おかしく解釈する遊び(#NewMeaningsForEmojis)に、企業も参加して盛り上がったようです。

Brands come out to play the Twitter hashtag game #NewMeaningsForEmojis - Digiday

 

 

こちらはとうとう「World Emoji Day」なる記念日まで作ってしまったものです。7月17日がWorld Emoji Dayだそうで、その理由はiOSの絵文字「カレンダー」の絵が7月17日になっているからとのこと。色々な事例が出ていて面白いです。

🌎 World Emoji Day 📅 July 17, 2015

http://worldemojiday.com/wp-content/uploads/2014/07/17-july.png




キャンペーン等とは別にEmojiがここまでワールワイドにブームになるまでの流れも面白いです。

こちらはNTTDocomo時代に絵文字作りを進めた栗田穣崇さんのインタビューです。「日本人の手紙の習慣がemailのような手軽なメッセージングの手段に変わり、細かい感情のニュアンスが伝わらなくなってしまうとコミュニケーションのロスがある。それがこれから始まるデジタルコミュニケーションの良さを消してしまうのでは」という思いから発展していったのだそうです。

How emoji conquered the world | The Verge

http://assets.sbnation.com/assets/2169181/emoji1_1020.jpg




GmailUnicodeがウンチの絵文字を採用するまでの話です。また日本人が変なことを言い始めやがった、みたいな所から始まり、クソだなんだって汚い言葉で罵るより笑えて良いじゃない、みたいな意見も経て素晴らしいウンチ絵文字ができるまでのドラマです。Emojiデザイナーは語ります「ウンコの周りにハエがたかるアニメーションを作ったのは人生最高の仕事だ」と。面白いです。

The Oral History Of The Poop Emoji (Or, How Google Brought Poop To America) | Fast Company | Business + Innovation

http://e.fastcompany.net/multisite_files/fastcompany/imagecache/1280/poster/2014/11/3037803-poster-p-3-the-poop-emoji-oral-history.jpg



とまあかなりホットなEmojiブームですが、懐疑的な話もあるのでそれはまた別の機会に。

コンテンツマーケティングツールとしてのGIFアニメ

昔々からのコンピュータユーザだったら懐かしくなっちゃうGIFアニメですが、どうも最近マーケティングのツールとして復活してくるのではないかと言われております。例えばFacebookGIFアニメーションの投稿に対応し始めたそうですし、Twitterもネイティブのプレイヤーでサポートしたそうです。微妙にローテクなイメージでクールな印象のないGIFですが、そのポテンシャルが注目されております。

Marccx MediaのCEO、Michael Peggs 氏によれば「魅力的なビジュアルこそがよりよいエンゲージメントを生むとあらゆる研究が証明しており、企業によるGIFアニメーションはコンテンツマーケティングと顧客とのコミュニケーションの完璧な組み合わせ」だそうです。

1. パラマウント映画
Terminator Genisys向けに6本のGIFを制作したそうです。
このGIFによって昔の映画を見てない若い層に作品のビジュアルを伝えることができますし、昔からのファンにはノスタルジーを引き出すことが出来ます。

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2. DiGiorno Pizza
DiGiorno PizzaはかなりGIFアニメで実績豊富だそうです。普段は行っても数百のリツイートがGIFだと数千にもなるとのこと。比較すれば歴然ですね。

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3. Adult Swim
深夜放送枠だそうですが、やはりGIFのツイートがすごく人気があるそうです。

 

4. スターバックス
スタバックスはPopkeyスターバックスソーシャルメディア上で21個のGIFを公開しているとのことです。Walrus創設者のDeacon Webster 氏は「GIFが画面上に表示されると見ずにはいられない。手作り感、ローテク感があって整った企業広告よりも不快感が少なく、広告を見たくないユーザーにもポジティブに受け取ってもらえる」と語ります。

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5. GE
持続可能エネルギーとかそういった難しいテーマを一般の人に面白く伝えるのは大変です。GEはその辺をうまくGIFで表現してコンテンツにしているそうです。GEのTumblrには教育関連のGIFが大量にあるそうで、#SpringBreakIt, #6secondscience, #BadAssMachines 等が人気だそうです。

さらにはGIFでミレニアル世代向けの科学教育コンテンツ Emoji Science も公開しているとのこと。

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GIFソーシャルメディアでエンゲージメントをあげられないブランドにとって必ずしも効果的な回答ではなく、状況を見極める必要があります。前述のWebster氏は「若者の間で話題だから、と乗っかろうとすると痛い目を見るでしょう。例えば住宅ローンの宣伝のためにメガバンクが絵文字満載のGIFを投稿してもあまり意味はないでしょう。」と語ります。

個人的にはGIFアニメーションは作るのも見るのも好きですが、ファイルサイズが肥大化しがちなので長さや色の使用については注意しないといけないと思います。

出典: 5 Brands Rocking Their GIF Game